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自動車部品業界の今後は?EV化でなくなる部品・生き残り戦略と現場のリアルな声

自動車部品業界の今後は?EV化でなくなる部品・生き残り戦略と現場のリアルな声

2026.10.20

アスタワーク編集者

自動車部品業界の今後は?EV化でなくなる部品・生き残り戦略と現場のリアルな声

自動車部品業界を取り巻く現状と今後の見通し

自動車部品業界は「縮小」ではなく「中身の入れ替え」の局面にあります。世界の電動車販売は伸び続け、エンジン部品から電動・電子部品へと需要の重心が移りつつあるためです。

 

ただし日本国内では電気自動車(EV)の比率がまだ低く、エンジン関連の仕事が一気に消えるわけではありません。変化の方向と速度を分けて捉えることが、この業界を理解する第一歩です。

「100年に一度の大変革期」と呼ばれる理由とCASEの影響

「100年に一度の大変革の時代」という言葉は、トヨタ自動車の豊田章男社長(当時)が2017年の役員体制変更の際に用いたものです(※1)。同氏は「『勝つか負けるか』ではなく『生きるか死ぬか』の戦い」とも述べ、業界全体の危機感を象徴するフレーズになりました(※1)。

 

変革の中身を表すキーワードが「CASE」です。2016年のパリモーターショーで、独ダイムラー(現メルセデス・ベンツグループ)の会長(当時)が中長期戦略の発表で用いたのが始まりとされています。

 

要素 意味 部品業界への主な影響
C:Connected 通信でクルマとクラウドがつながる 通信モジュール・車載ソフトの需要増
A:Autonomous 自動運転・運転支援 カメラ・レーダー・LiDARなどセンサー需要増
S:Shared & Services 所有から利用へ 稼働率が上がり、耐久性・保守の重要度が増す
E:Electric 電動化 エンジン部品が減り、電池・モーターが増える

「100年に一度」とされるのは、動力源・運転の主体・所有のあり方という3つの前提が同時に揺らいでいるからだと考えられます。

 

足元の数字を見ると、2025年の世界の電気自動車(EV・PHEV)販売は2,000万台を超え、新車販売の約25%に達しました(※2)。国際エネルギー機関(IEA)は2026年に2,300万台・約28%への拡大を見込んでいます。

 

ただ、2026年1〜3月は中国・米国の政策変更を受けて前年同期比8%減でした(※2)。一方の日本国内では、2025年の乗用車販売に占めるEVの割合が1.6%にとどまりました(※3)。

 

世界では電動化が着実に進み、日本ではハイブリッド車(HV)中心の移行が続く――この「二重構造」が、国内の部品メーカーと働く人の将来を考える前提になります。

 

※1 出典:ITmedia ビジネスオンライン「豊田章男『生きるか死ぬか』瀬戸際の戦いが始まっている」
※2 出典:IEA「Global EV Outlook 2026」
※3 出典:共同通信「25年EV販売、6万台伸び悩み」

EVシフトによって生じる業界構造の根本的な変化と部品点数の減少

EV化で部品点数は大きく減ると見込まれています。よく引用されるのが「ガソリン車約3万点 → EV約2万点」という目安です。

 

デロイト トーマツ コンサルティングの試算(2016年)では、ガソリン車3万点のうち約1万1,100点がEV化で不要になるとされました(※1)。差し引くと約1万9,000点となり、「約2万点」はこの試算に近い数字です。

 

部品カテゴリー ガソリン車の部品点数(目安) EV化で不要となる点数(試算)
エンジン部品 6,900 6,900
駆動・伝達・操縦部品 5,700 2,100
電装品・電子部品 3,000 2,100
懸架・制動部品 4,500 0
車体部品 4,500 0
その他 5,400 0
合計 30,000 11,100

ただし、点数は数え方次第で大きく変わる点に注意が必要。経済産業研究所の浜口伸明氏は、エンジンだけで約1万点、数え方によっては合計10万点にのぼると指摘し、EVは約1万点とする見方も紹介しています(※2)。

 

「3万点→2万点」は確定値ではなく、構造変化の大きさをつかむための目安と捉えるのが適切でしょう。部品点数の減少は、完成車メーカーを頂点にTier1(一次)、Tier2(二次)、Tier3(三次)と連なるピラミッド構造を揺さぶるもの。

 

経済産業省は「ミカタプロジェクト」を各地で展開しています。電動車で需要が減少する部品(エンジン部品等)を製造する中堅・中小サプライヤーの、事業転換を支援する取り組みです。2025年度からは米国の関税に関する相談も受け付けるようになりました(※3)。

 

電動化と通商環境の変化という2つの圧力が、同時にサプライヤーへかかっている状況と言えるでしょう。

 

特定のエンジン部品に売上を依存する企業ほど、取引先の再編や価格競争の影響を受けやすい構造にあると言えます。

 

※1 出典:ぶぎん地域経済研究所「ぶぎんレポート No.216」
※2 出典:経済産業研究所 浜口伸明「自動車産業の未来 部品網の構造変化に備え」
※3 出典:近畿経済産業局「ミカタプロジェクト シンポジウム『自動車産業の未来を描く サプライヤーの挑戦』を開催します」

EV化で「なくなる自動車部品」と「需要が伸びる部品」

需要が減るのは、エンジンを中心とした「燃やす・吸う・吐く・変速する」ための部品です。反対に伸びるのは、電池・モーター・インバーター・センサーといった「電気を使う・周囲を認識する」ための部品。

 

ここではそれぞれを具体的に見ていきます。

需要縮小が懸念されるエンジン・マフラー・駆動系部品

EVではエンジンがバッテリーとモーターに置き換わるため、燃料系・燃焼系・吸排気系・潤滑系・変速機構の部品が不要になります(※1)。

 

系統 代表的な部品 EVでの扱い
燃料系 燃料タンク、燃料ポンプ 不要
燃焼系 点火プラグ(スパークプラグ) 不要
排気系 マフラー、排ガス浄化装置 不要
吸気系 スロットル 不要
潤滑系 オイルポンプ 不要
変速機構 AT(自動変速機) 多段変速機は不要(減速機に置き換え)

一方で、これらの部品の需要がすぐにゼロになるわけではありません。国内ではHVが主流で、EVの販売比率は2025年時点で1.6%にとどまります(※2)。HVはエンジンを積むため、点火プラグやエンジン部品は引き続き欠かせません。

 

すでに走っているクルマの補修部品(アフターマーケット)の需要も、保有車両が入れ替わるまで長く残るでしょう(※1)。

 

実際、あえてエンジン部品に投資する企業もあります。エンジンバルブを主力とするNITTANは2026年、エンジン部品関連のM&Aに100億円を投じる方針を示しました。エンジン車も一定程度残るとの見通しに立ち、競合が撤退する市場でシェアを高める「残存者利益」を狙う戦略と言えるでしょう。

 

エンジン部品は「すぐ消える」のではなく「時間をかけて縮む」市場であり、その間にどう動くかが企業ごとの差になります。

 

※1 出典:経済産業研究所 浜口伸明「自動車産業の未来 部品網の構造変化に備え」
※2 出典:共同通信「25年EV販売、6万台伸び悩み」

需要拡大が見込まれるバッテリー・モーター・センサー関連

成長が見込まれるのは、電動車の「心臓」と自動運転の「目」にあたる部品です。主要な市場予測を下表に整理しました。

 

分野 予測内容 調査主体(発表時期)
駆動用電池 xEV向け駆動用電池の世界市場は2040年に47兆751億円(2024年比2.6倍) 富士経済(2026年2月)(※1)
eAxle(モーター・インバーター・ギア一体型) BEV用eAxleの世界市場は2030年に3兆6,180億円、2035年に4兆1,335億円 矢野経済研究所(2025年9月)(※2)
ADAS・自動運転用センサー カメラ・レーダー・LiDARなどの世界市場は2030年に3兆6,929億円(2023年見込み比約2.4倍) 矢野経済研究所(2024年6月)(※3)

インバーターとは、電池の直流電力をモーター用の交流電力に変換する装置のこと。モーター・インバーター・減速機を一体化したeAxleは、EVの中核部品として開発競争が激しくなっています。LiDAR(ライダー)は、レーザー光で周囲の物体までの距離や形を立体的に測るセンサーで、高度な自動運転には欠かせません。

 

注意したいのは、成長市場ほど国際競争も激しい点です。IEAによると、2025年の電池セル生産の80%超を中国が占めています(※4)。「伸びる分野にいれば安泰」ではなく、伸びる分野で何を強みに戦うかが問われるでしょう。

 

※1 出典:MONOist「2040年のxEV向け駆動用電池市場は2024年対比2.6倍に拡大」
※2 出典:矢野経済研究所「xEV用主機モータ・eAxle世界市場に関する調査を実施(2025年)」
※3 出典:EE Times Japan「ADAS/自動運転用センサー、30年に約3.7兆円規模へ」
※4 出典:IEA「Global EV Outlook 2026」関連発表

ソフトウェア化(SDV)による電子部品の重要性増大と異業種参入

これからのクルマの価値は、ハードウェアだけでなくソフトウェアで決まる比重が高まります。その象徴がSDV(Software Defined Vehicle)。

 

経済産業省は、クラウドとの通信で機能を継続的にアップデートし、従来車にない価値を実現できる次世代の自動車と定義しています(※1)。スマートフォンのように、買った後も機能が更新される「走るスマホ」に近い姿と言えるでしょう。

経済産業省と国土交通省は2024年5月に「モビリティDX戦略」を策定し、2030年と2035年にSDVの世界販売台数で日系シェア3割を目指す目標を掲げました(※1)。2025年6月には、生成AIや地政学リスクの高まりを踏まえて戦略を改定しています(※2)。

 

大きな課題は人材でしょう。経済産業省によると、SDV開発に必要なソフトウェア人材の不足は2025年時点で3.3万人、2030年時点で5.1万人に達する見込みです(※3)。部品メーカーもソフト開発体制の強化を急いでいます。

 

デンソーは2026年7月、ソフトウェア開発子会社のデンソークリエイトを吸収合併すると発表しました。デンソーテクノの車載ソフトウェア事業もあわせて承継する計画です(※4)。

 

電子部品業界にとっても、自動車は重要な成長市場です。電子情報技術産業協会(JEITA)の調査では、SDVに搭載される半導体の世界需要額は2035年に1,186億ドルまで拡大すると見通されています(※5)。

 

半導体・電子部品・ソフトウェアの比重が高まるほど、IT・電機系の企業と従来の自動車部品メーカーの境界は薄れていくでしょう。

 

※1 出典:経済産業省 製造産業局 自動車課「モビリティDX戦略について」
※2 出典:経済産業省「Mobility DX Strategy 2025 update」
※3 出典:東洋経済オンライン「トヨタ、ホンダも右往左往!ソフト人材確保の高い壁」
※4 出典:日本M&Aセンター「デンソーが完全子会社デンソークリエイトを吸収合併へ」
※5 出典:電子情報技術産業協会(JEITA)「JEITA Letter vol.53」

激変する業界で自動車部品メーカーが生き残るための戦略

生き残りの方向性は大きく3つです。自社技術を別の市場へ展開すること、再編や提携で規模と開発力を補うこと、そして特定の取引先への依存を減らすこと。

 

実際の企業の動きとあわせて見ていきます。

自社のコア技術(精密加工・素材など)を活かした新規事業領域への展開

最も代表的な事例が、スパークプラグ大手の日本特殊陶業です。同社は2023年4月、英文社名を「NGK SPARK PLUG CO., LTD.」から「Niterra Co., Ltd.」に変更しました(※1)。社名から「スパークプラグ」を外した背景には、エンジン部品への依存から脱却する意思を社外に示す狙いがあると考えられます。

 

同社は2024年11月、東芝の完全子会社である東芝マテリアルを約1,500億円で取得すると発表しました(※2)。東芝マテリアルは、EVモーターの軸受に使われる窒化ケイ素ボールや、パワー半導体用の窒化ケイ素基板を手がける企業です(※2)。

 

プラグで培ったセラミックス技術を、EV・半導体という成長分野につなげる狙いと考えられます。

 

このように、精密加工・素材・熱処理といった「製造の基礎技術」は、医療機器、ロボット、航空宇宙、半導体装置など他産業でも求められます。 経済産業省のミカタプロジェクトでも、他業種の新事業展開を学ぶ実地研修が開かれました(※3)。

 

※1 出典:日本特殊陶業株式会社「有価証券報告書(第123期)」
※2 出典:EE Times Japan「東芝マテリアルを1500億円で売却 日本特殊陶業に」
※3 出典:中部経済産業局「ミカタプロジェクト 実地研修会・経営者向けワークショップ開催」

業界再編を見据えたM&Aやアライアンス(業務提携)の積極活用

単独では賄いきれない開発投資を、統合や提携で補う動きが広がっています。直近の例が、オイルシールのNOKと、メカニカルシールのイーグル工業の経営統合です。

 

両社は2026年10月1日、共同持株会社「NOK Group」を設立し、東証プライム市場に上場しました(※1)。有機材に強いNOKと、無機材に強いイーグル工業の技術を組み合わせる狙いがあります(※1)。

 

愛知のトヨタグループでも、電動化・自動運転の分野で共同出資会社が生まれてきました(※2)。

会社名 設立 出資企業 事業内容
BluE Nexus 2019年4月 アイシン、デンソー 電動駆動モジュール(eAxle等)の開発・販売
J-QuAD DYNAMICS 2019年4月 デンソー、アイシン、アドヴィックス、ジェイテクト 自動運転の統合制御ソフトウェア開発

さらにアイシンは2024年5月、三菱電機グループと次世代電動化製品の合弁会社設立で基本合意しています(※3)。系列の内側にとどまらず、電機メーカーとも組む動きが出てきた点は注目に値するでしょう。

 

再編は「どこかが消える話」ではなく、技術と人材を持ち寄って次の主力事業をつくる手段として使われているのです。

 

※1 出典:LOGISTICS TODAY「NOKとイーグル工業、共同持株会社を設立」
※2 出典:MONOist「デンソーアイシンらの新会社、社名は『J-QuAD DYNAMICS』『BluE Nexus』」
※3 出典:Car Watch「三菱電機グループとアイシン、電動化事業の新会社設立に基本合意」

Tier2・Tier3企業に求められる提案力と取引先の多角化

Tier2・Tier3の中小企業に求められるのは、「言われたものを作る」から「自ら提案する」への転換です。電動車の部品は構造も素材も変わるため、従来の図面どおりの受注だけでは仕事が先細りしかねません。

 

国もこの転換を後押しする立場です。中部経済産業局は岐阜・愛知・三重の中堅・中小サプライヤーを対象に、電池パック部品など電動化技術のセミナーと個別相談会を開催しています(※1)。経験豊富なコーディネーターが個社の困りごとを整理する個別相談会も、無料で実施されました(※1)。

 

取引先の分散は、通商リスクへの備えにもなります。米国では1962年通商拡大法232条に基づく自動車・同部品への追加関税が課され、2025年の米国新車市場には関税前の駆け込み需要が生じました(※2)。

 

一つの完成車メーカーや一つの輸出先に頼る経営は、こうした外部ショックに弱くなります。 異業種や海外を含めた複数の販路を持つことが、中小企業にとっての保険と言えるでしょう。

 

※1 出典:中部経済産業局「『自動車産業の変革期における技術動向セミナー』の参加者を募集します」
※2 出典:ジェトロ「2025年米新車販売は高水準を維持」

自動車部品業界における今後のキャリアと転職動向

これからの自動車部品業界で市場価値が高まるのは、「ものづくりの基礎」に「電動化・ソフトウェア・データ」の知識を掛け合わせた人材です。企業選びでは規模よりも「CASEのどこに強いか」を見ることが大切になります。

 

未経験の人にとっては、製造現場から入って知識を積み上げる道が現実的でしょう。

今後業界で求められるスキル(DX、ソフトウェア関連)と人材像

前述のとおり、SDV開発に必要なソフトウェア人材は2030年に5.1万人不足すると見込まれています(※1)。人材不足が大きい分野ほど、スキルを持つ人の市場価値は上がるはずです。

 

分野 市場価値が高まるスキル 活躍の場
ソフトウェア 組み込みソフト(C/C++)、車載ネットワーク、機能安全の知識 ECU・SDV開発
電動化 パワーエレクトロニクス、モーター制御、電池の評価 eAxle・電池関連
データ・DX データ分析、生産ラインのIoT化、AI活用 品質管理・生産技術
製造現場 設備保全、品質検査、フォークリフト・玉掛けなどの資格 量産工場

機械工学の知識は今後も必要ですが、それだけでは差がつきにくくなるはずです。「機械が分かるソフト人材」や「電気が分かる生産技術者」のように、領域をまたげる人ほど重宝されると考えられます。

 

製造現場の経験も、品質・安全の感覚として上流工程で生きるでしょう。

※1 出典:東洋経済オンライン「トヨタ、ホンダも右往左往!ソフト人材確保の高い壁」

将来性のある「勝ち馬(成長企業)」を見極めるためのポイント

転職先を選ぶときは、知名度や企業規模だけで判断しないことが大切です。次の4点を確認すると、変化への備えが見えてきます。

 

確認ポイント 見るべき資料・情報 判断の目安
CASEのどの領域に強いか 公式サイトの製品一覧、統合報告書 電動化・ADAS・ソフトの製品が育っているか
新規投資をしているか 決算説明資料、プレスリリース 新工場・新ライン・研究開発への投資発表があるか
提携・再編に動いているか ニュースリリース 他社との共同開発や統合の実績があるか
取引先が分散しているか 有価証券報告書の主要顧客 特定1社への依存度が高すぎないか

エンジン部品が主力の企業でも、HVや補修需要を取り込みつつ新分野へ投資していれば、すぐに危険とは言えません。逆に、成長分野の製品があっても投資が止まっている企業には注意が必要。

 

「今何を作っているか」より「次に何を作ろうとしているか」を見るのが、見極めのコツです。

異業種・未経験から自動車業界へ転職・参入する際の注意点

異業種から自動車業界へ移る場合、専門用語や品質基準の厳しさ、交替勤務などの働き方に戸惑う人は少なくありません。設計・開発職の中途採用では、即戦力としての実務経験を求められることも多いでしょう。

 

現実的なのは、製造現場から入って業界の知識を身につけるステップです。愛知県の製造品出荷額等は2023年に58兆218億円で、全国の約15.5%を占めて47年連続の全国1位(※1)。自動車関連の工場が集まる地域だけに、未経験から始められる仕事の選択肢も豊富と言えます。

 

有期雇用の派遣社員の場合、同じ職場(組織単位)で働けるのは3年が上限と法律で定められています(※2)。

 

3年を迎える見込みで本人が働き続けたいと希望すれば、派遣会社は「派遣先への直接雇用の依頼」「新たな派遣先の提供」などの雇用安定措置を講じなければなりません(※2)。現場で経験を積みながら、直接雇用や正社員登用を目指す道筋も制度として用意されているのです。

 

※1 出典:愛知県「あいちの魅力(産業構造・事業環境)」
※2 出典:厚生労働省「新たな期間制限の在り方(イメージ)」

【現場の声】自動車関連工場で働く魅力とは?

アンケートで最も多く挙がった就業先の良いところは「人間関係・職場の雰囲気」でした。業界の大きな変化とは別に、日々の働きやすさは職場の人や仕組みに左右されるもの。

 

ここからは、株式会社アスタリスクを通じて愛知県内の工場で働くスタッフのアンケート結果を紹介します。

 

項目 内容
調査名 「ありがとう15周年 現金100万円キャンペーン(第2弾)」応募フォーム
実施主体 株式会社アスタリスク
実施時期 2026年
質問 就業先(派遣先)の良いところを聞かせてください(自由記述)
回答数 516件。重複送信を除く511件のうち、自動車メーカー・自動車部品メーカーの就業先394件を集計対象とした
主な就業先 アイシン、トヨタ自動車、トヨタ紡織、デンソーエレクトロニクス、三菱自動車、アドヴィックスなど
集計方法 自由記述を編集部がキーワードで分類(1件が複数分類に該当する場合あり)
「良いところ」の分類 件数 割合
人間関係・職場の雰囲気 122 31.0%
収入(時給・残業で稼げる) 57 14.5%
「働きやすい」(総合評価) 50 12.7%
教育・指導・サポート 40 10.2%
作業負担の軽さ 19 4.8%
安全・コンプライアンス・ルール 18 4.6%

なお、本調査は抽選キャンペーンの応募フォームで集めた回答のため、好意的な声が集まりやすい傾向がある点にご留意ください。「特にない」「まだわからない」といった回答も一定数ありました。

未経験者でも安心の「人間関係の良さ」と「親切な指導体制」

工場勤務が初めての人にとって最大の不安は「仕事を覚えられるか」「職場になじめるか」でしょう。アンケートでは、人間関係や雰囲気に触れた回答が31.0%、教育・指導に触れた回答が10.2%ありました。

 

未経験でも、仕事を丁寧に教えてくれます

40代女性・外国籍/アイシン

働きやすく、しっかり教えてくれて、雰囲気も良く、やりやすい。初心者でもわかりやすく丁寧に教えてくれる。

20代男性/アイシン

しっかりとした座学の研修と現場の研修があるので、安心して仕事ができます。仕事中もフォローが万全で、慣れるまで手厚く面倒を見てくれます。

40代男性/トヨタ自動車

社員さんが分け隔てない

40代男性/アイシン

座学と現場研修を組み合わせた教育は、作業手順が標準化された大手の工場ならではの強みと考えられます。

 

「最初の数週間を一人にしない仕組み」がある職場なら、未経験でも定着しやすいはずです。

大企業ならではの「コンプライアンス」と「充実したサポート」

大手メーカーの工場では、安全とルールを重んじる文化が働く安心感につながっています。安全・コンプライアンス・ルールに触れた回答は18件で、具体的なエピソードを伴うものが目立ちました。

 

安全についていつも考えている所

40代男性/トヨタ自動車

やりにくい作業などを積極的に洗い出し、迅速な対応をして頂ける所です。

20代男性/アイシン

作業面で安全第一、作業員への心身へのサポート力が良い

30代男性・外国籍/アイシン

時給が高く、コンプライアンスに力を入れている為に国籍や年齢に関わらず働きやすい環境が整っている所です。

30代男性/三菱自動車

作業のやりにくさを吸い上げて改善する取り組みは、トヨタグループを中心に根づく「カイゼン」の文化とも重なります。

 

現場の声が設備や手順の改善に反映される職場は、ケガのリスクも疲労も減らしやすいと言えるでしょう。

社員と派遣の垣根がない風通しの良い職場環境

「派遣だから」と扱いを分けない職場の存在も、アンケートから見えてきました。件数は多くないものの、立場の違いを感じさせない対応に触れた回答には、具体的な体験が書かれています。

 

派遣だからという見方はされず、一社員のような扱いをしてもらえるので居心地はいいです。

30代男性/アイシン

職場内の風通しがよく立場に関係なく意見を求めてくれる点

40代男性/アイシン

社員、派遣、期間工関係なく意見を聞いてくれるところ

20代男性/トヨタ紡織

派遣で入ってすぐの私が仕事の方法やルールについて疑問点や改善すべき点を感じ、僭越ながらも意見を述べた際に上司の方が真摯に受け止めてくださった点

40代男性・外国籍/アイシン

入社直後の意見でも受け止めてもらえる経験は、「この職場で長く働こう」と思える大きなきっかけになります。

 

立場を問わず改善提案を歓迎する文化は、派遣社員にとって働きがいの源泉と言えるでしょう。

アンケートから見るリアルな待遇・働きやすさ

待遇面で多く挙がったのは「時給の高さ」と「残業で稼げる」という収入面の満足です。食堂や空調といった職場設備、年齢・性別・国籍を問わない受け入れ体制も、具体的な声として寄せられました。

「時給の高さ」「残業でしっかり稼げる」という収入面での満足度

収入に触れた回答は57件(14.5%)で、人間関係に次いで多い結果でした。

 

残業が多くて稼げる

30代男性/アイシン

時給と仕事内容が割に合う所です

40代男性/デンソーエレクトロニクス

二交代勤務なのでとても稼げます。

30代男性/アイシン

残業が多いものの、お給料を稼ぎたい人にはオススメ

30代男性/アイシン

一方で、以下のような声もありました。

 

残業が少ない

40代男性/トヨタ自動車

残業が多くない

40代男性/アイシン

残業の量は工場や部署、時期によって大きく異なるのが実情。「稼ぎたい」のか「プライベートを優先したい」のかを先に決めておくと、自分に合う職場を選びやすくなります。

生活を支える「安くて美味しい食堂」や「快適な空調設備」

食堂や空調、清潔さなど職場設備に触れた回答は件数こそ多くないものの、毎日の過ごしやすさに直結する内容です。

 

食堂が美味しい!

30代男性/トヨタ自動車

食堂が綺麗

20代男性/アイシン

仕事環境(空調、整理整頓)もしっかりしており、とても作業がしやすいです。

40代男性/デンソーエレクトロニクス

クリーンルームで働きやすい

30代男性/アイシン

寮がタダ 時給がいい所

30代男性/トヨタ自動車

工場の仕事は「暑い・汚い」というイメージを持たれがちです。しかし、空調管理が必要な電子部品やクリーンルームの工程では、温度や清潔さが品質に直結するため環境が整えられていると考えられます。

 

食堂・空調・寮といった設備は求人票だけでは分かりにくいため、応募前に担当者へ確認しておくと安心でしょう。

幅広い年齢層・女性・外国籍スタッフも活躍できるダイバーシティ

アンケートの回答者は19歳から62歳まで幅広く、女性は51人(12.9%)、外国籍のスタッフは44人(11.2%)でした。年代別では40代が39.8%と最も多く、30代が35.0%、20代が20.1%と続きます。

 

年齢が高くても働ける

50代男性/トヨタ紡織関連

女性の方が少ないですが、一緒に働いている男性方もすごく優しく接してくれますし、作業内容も同じ作業の繰り返しなので1度覚えてしまえば慣れるのに時間がかからないところがいいと思います。

20代女性/ジェイテクト

外国人の人達も安心して働ける工場です

30代男性/トヨタ紡織

年齢層が幅広いので若い子だけの工場なんかよりギスギスもなくアットホームな感じはあります。

40代男性/アドヴィックス

回答者の約9割は男性で、自動車工場の現場はまだ男性中心です。それでも、重量物の少ない工程や同じ作業を繰り返す工程では、女性や中高年が活躍しているという声もありました。

 

「自分の年齢や性別で働けるか」は工程ごとに違うため、負担の少ない仕事を担当者に相談するのが近道です。

自動車部品業界で自分に合った働き方を見つける方法

自分に合った働き方を見つけるには、「何を優先するか」を先に決めることが欠かせません。収入、生活リズム、将来のキャリアの優先順位によって、選ぶべき勤務形態や職場は変わります。

自身の適性とライフスタイル(日勤・交替勤務など)のすり合わせ

収入を重視するなら交替勤務、生活リズムを重視するなら日勤のみ、というのが基本的な考え方です。アスタワークでも、2交替勤務・夜勤あり・残業あり・自動車関連工場などの求人は高収入になりやすい傾向があると案内しています(※)。

 

勤務形態 特徴 向いている人
日勤のみ 生活リズムが安定し、夜は自由に使える 家庭やプライベートを優先したい人
2交替 昼勤と夜勤を週ごとなどで交替。深夜手当がつく しっかり稼ぎたい人
3組2交替(4勤2休など) 3つのチームで2つの勤務帯を回し、連休が取りやすい 稼ぎつつ休日も確保したい人
夜勤専属 深夜手当で収入が上がりやすい 夜型の生活が合う人

交替勤務は収入面の魅力が大きい反面、生活リズムが変わります。体調管理に自信がない場合は、日勤から始めて慣れてから交替勤務に移るのも一つの方法です。

 

※出典:アスタワーク「よくあるご質問」

将来のキャリアを見据えたスキルアップと情報収集

工場の仕事を「目先の稼ぎ」だけで終わらせないためには、中長期の目標を持つことが大切です。具体的には、次のようなステップが考えられます。

 

  1. 現場で基本を身につける:組立・検査・加工など、まずは1つの工程を確実にこなせるようになる
  2. 資格を取る:フォークリフトや玉掛けなど、工場で活かせる資格は仕事の幅を広げる
  3. 担当工程を広げる:複数工程を経験すると、品質や設備の知識も深まる
  4. 雇用形態のステップアップを目指す:直接雇用や正社員登用の機会を担当者と相談する

前述のとおり、有期雇用の派遣で同じ職場に3年勤める見込みの場合、本人が希望すれば派遣会社には雇用安定措置を講じる義務が生じます。

 

「この先どう働きたいか」を早めに担当者へ伝えておけば、次の選択肢を一緒に考えてもらいやすいでしょう。 業界ニュースにも目を向け、自分の職場がCASEのどの領域に関わっているかを知っておくことも、キャリアを考える判断材料になります。

地域の優良求人や内部情報に強い派遣会社・エージェントを活用する

職場の雰囲気や実際の残業時間、寮の住み心地は、求人票だけでは分かりません。こうした「現場のリアル」を知るには、地域の就業先を熟知した派遣会社やエージェントを頼るのが効率的です。

 

アスタワークのよくある質問では、寮付き求人の応募前に確認したい項目を挙げています。具体的には、勤務地までの通勤時間、寮費や水道光熱費の有無、家具・家電の有無、共有ルール、車の持ち込み可否、退寮時のルールの6点です(※)。

 

派遣会社を選ぶ際は、求人数の多さだけでなく、こうした生活面まで具体的に説明してくれるかを判断基準にしましょう。

※出典:アスタワーク「よくあるご質問」

愛知の自動車部品・工場派遣なら「アスタワーク」

アスタワークは、株式会社アスタリスクが運営する愛知県の派遣求人サイトです。同社は豊橋・豊田・安城を拠点に、自動車・部品・食品・物流など地域産業の仕事を紹介しています(※1)。

 

本記事で紹介したアンケートも、同社を通じて働くスタッフから寄せられたもの。仕事探しと生活の立ち上げを支える主なサポートは、下表のとおりです(※2)。

 

サポート内容 概要
寮 入寮を希望する人が全体の7〜8割。単身者用(1K・1DK)が中心で、家族寮もある
即入寮 仕事や寮の空き状況により、最短で面接当日から数日以内に入寮できるケースもある
面接 電話で実施。遠方からでも愛知に来る必要はない
赴任費 県外から赴任する際の交通費補助あり(都道府県により異なる)
給与の前払い 日払い(上限2,000円)、週払い(上限1万5,000円)の制度あり

「自分に合う職場が分からない」「寮付きですぐに働きたい」という人は、まず気になる求人をチェックしてみてください。応募フォームでは名前と連絡先を入力するだけで、専任の担当者から連絡が届きます(※1)。

 

アスタワークで求人を探す

※1 出典:アスタワーク「ありがとう15周年!”働く理由”をもっと面白くー100万円キャンペーン」
※2 出典:アスタワーク「よくあるご質問」

自動車部品業界の今後についてよくある質問

Q. 未経験からでも自動車部品業界の製造現場で働けますか?

A. 働けます。組立・検査・部品供給などの工程は、未経験から始める人が多い仕事です。

 

アンケートでも「未経験でも、仕事を丁寧に教えてくれます」「初心者でもわかりやすく丁寧に教えてくれる」といった声が寄せられました。座学と現場研修を用意している工場もあるため、不安な点は応募前に担当者へ確認しましょう。

Q. 今後なくなる部品を作っているメーカーで働くのは危険ですか?

A. 直ちに危険とは言えません。

 

国内では2025年時点でEVの販売比率が1.6%にとどまり、エンジンを積むHVが主流です(※1)。保有車両の補修部品の需要も長く残ります(※2)。

 

ただし長期的には需要が縮むため、勤務先が電動化や新分野に投資しているかは確認しておきたいところ。

 

※1 出典:共同通信「25年EV販売、6万台伸び悩み」
※2 出典:経済産業研究所 浜口伸明「自動車産業の未来 部品網の構造変化に備え」

Q. 工場の仕事は人間関係が不安ですが、実際のところどうですか?

A. 職場によって差はありますが、アンケートでは就業先の良いところとして人間関係・職場の雰囲気を挙げた回答が31.0%と最多でした。

 

一方で「特にない」「まだわからない」という回答もあり、すべての職場が同じではありません。派遣会社を通じて事前に職場の雰囲気を聞き、入社後に困ったときは担当者へ相談するのがおすすめです。

Q. 遠方からの応募ですが、入寮して働くことは可能ですか?

A. アスタワークでは面接を電話で行うため、愛知に来ずに選考を受けられます。

 

県外から赴任する際の交通費補助もあり、金額は都道府県ごとに決まる仕組み。寮費は都市によって差があり、4〜5万円程度が中心ですが、寮費無料の求人も用意されています(※)。

 

即入寮できるかは時期や空室状況で変わるため、希望の入社時期とあわせて相談しましょう。

 

※出典:アスタワーク「よくあるご質問」

EV化と自動運転がもたらすピンチを「新たな成長のチャンス」へ

EV化と自動運転の進展で、エンジン関連部品の需要は時間をかけて縮む一方、電池・モーター・センサー・ソフトウェアの市場は拡大が見込まれています。

 

企業は技術の横展開や再編で次の主力事業を探り、働く人には「ものづくり×電動化・デジタル」の掛け合わせが求められる時代に入りました。変化の大きい業界だからこそ、現場での経験は確かな土台となるはずです。

 

働きやすい職場を見極め、将来につながる一歩を踏み出しましょう。

編集 木村:KIMURA /
アスタリスク、人材戦略グループ長 広告・人事担当

PROFILE

木村瞳。1985年生まれ。岡山県出身。
大学卒業後ユニクロに入社し、採用や育成を担当。現職のアスタリスクへ2014年入社。面接や育成は通算15年以上携わっています。
アスタリスクに入社してからは数多くの企業様へ訪問し人材コンサルの支援をさせて頂いています。その経験を活かし、現在は管理職として、幅広い職種の方の転職をサポートしています。

MESSAGE

取引先にも求職者の方にも忖度しないこと。良い情報も悪い情報も、お話しし、その方にとって間違いのない選択。リスクの低い選択をご提案できるように心がけています。