派遣切りとは？定義と意味を正しく理解しよう

「派遣切り」とは、派遣社員が派遣先企業や派遣会社から一方的に契約を打ち切られる、または契約更新を拒否されることです。派遣社員本人の意思に関係なく雇用が終了する点が特徴で、経済状況の悪化や業務縮小、派遣期間の上限などが主な原因となります。

正社員と異なり契約期間に基づく雇用形態のため、景気変動の影響を受けやすい側面があるため、派遣として働くうえでは、派遣切りの仕組みと対処法を理解しておくことが大切です。

派遣切りは違法？判断のポイントを解説

派遣切りはすべてが違法というわけではなく、契約内容や行われた手続きによって合法か違法かが分かれます。

 「派遣先企業」が契約を終了するケースと、「派遣会社」が雇用契約を解除するケースで判断基準が異なるため、それぞれの立場から見たポイントを確認しておきましょう。

派遣先企業による派遣切りは基本的に合法

派遣先企業が派遣契約を途中で終了する場合、基本的には違法にはなりません。なぜなら、派遣社員は派遣先企業と直接の雇用契約を結んでいないため、契約上の当事者ではないからです。

派遣先が業務縮小や経営悪化などを理由に契約を解除する場合、派遣会社が派遣社員に次の派遣先を紹介する流れが一般的です。ただし、派遣先の一方的な理由で頻発する場合や、派遣社員に不利益が集中する場合は、派遣会社を通じて状況を確認することが重要です。

派遣会社による派遣切りは違法の可能性あり

派遣会社が派遣社員との雇用契約を解除する場合は、違法となるケースがあります。派遣社員は派遣会社と直接の雇用関係にあるため、「30日前の解雇予告」または「解雇予告手当の支払い」がなければ労働基準法違反となる可能性があります。

また、「合理的な理由がない解雇」も違法と判断されやすいです。勤務態度やスキル不足などを理由にした派遣切りでも、改善の機会が与えられていない場合は不当解雇に該当することもあります。

派遣切りが行われる主な理由3つ

派遣切りが行われる理由は、派遣社員本人の問題だけでなく、企業の経営状況や制度上の制約が影響していることも多いです。ここでは、実際に派遣切りが発生する主な3つの背景を解説します。

派遣社員本人の勤務態度・スキル

勤務態度やスキル不足が理由で契約が更新されないケースもあります。遅刻や欠勤が多い、報連相ができない、仕事のミスが多いなどの場合は、派遣先企業が契約更新を見送ることがあります。

ただし、事前に指導や改善の機会が与えられていない場合は、正当な理由とは言えない場合もあります。派遣社員として評価を維持するには、日々の業務姿勢やスキルアップを意識することが大切です。

経営状況の悪化

企業の経営悪化によって人件費を削減せざるを得ない状況になると、派遣社員が優先的に契約終了となるケースがあります。特に景気後退や業績不振の時期には、派遣先企業がコスト削減のために派遣契約を打ち切ることが増えます。

これは派遣社員が正社員よりも契約期間の柔軟性が高いためです。経営状況による派遣切りは合法ですが、突然の通告に備えて常に次の選択肢を持つことが重要です。

派遣の「3年ルール」を避けるため

派遣社員は、同じ部署・職場で働ける期間が原則3年と定められています。いわゆる「3年ルール」によって、企業は派遣社員を同じポジションで継続的に雇うことができません。

そのため、3年を迎える前に契約終了となるケースが発生します。本来は部署異動や直接雇用への切り替えも選択肢としてありますが、企業側の都合で派遣切りを選ぶこともあります。自分の契約期間を把握し、次のキャリアを早めに考えておきましょう。

派遣切りへの事前対策｜日頃からできる3つのこと

派遣切りは予測が難しいものですが、日頃から準備しておくことでリスクを減らすことができます。ここでは、派遣社員が安定して働くために意識したい3つの具体的な対策を紹介します。

資格・スキルを磨いて自分の価値を高める

業務に役立つ資格や専門スキルを身につけておくと、派遣先からの評価が上がり、契約更新されやすくなります。

特に事務職ではPCスキル、製造や技術系では専門資格などが有利に働きます。スキルアップは転職やキャリアチェンジにも役立つため、日頃から自分の市場価値を高める意識を持ちましょう。

大手派遣会社に登録しておく

派遣切りのリスクを下げるには、信頼性の高い大手派遣会社に登録しておくのがおすすめです。大手企業は安定した取引先が多く、次の派遣先を紹介してもらいやすい特徴があります。

また、福利厚生やサポート体制が整っている点も安心材料です。派遣切りに遭っても、すぐに次の職場を見つけやすい環境を整えておくことで、収入の途切れを防ぐことができます。

正社員登用を視野に入れる

派遣として働きながら、将来的に正社員を目指すことも派遣切りのリスクを減らす方法です。派遣先企業によっては、派遣社員としての勤務態度やスキルを評価し、正社員登用を提案されるケースもあります。

長期的な安定を求める場合は、派遣会社を通じて「紹介予定派遣」などの制度を活用するのもおすすめです。

派遣切りにあった時の対処法

もし派遣切りに遭ってしまった場合も、落ち着いて次の行動を取ることが大切です。ここでは、派遣先・派遣会社のどちらのケースでも役立つ、具体的な4つの対処法を紹介します。

派遣会社の担当者に相談する

まずは派遣会社の担当者に状況を報告し、次の派遣先の紹介について相談しましょう。派遣先企業から契約を打ち切られた場合、派遣会社が新しい就業先を探してくれるのが一般的です。

希望条件や得意分野を改めて伝えておくことで、自分に合った仕事を見つけやすくなります。派遣会社は派遣社員の再就業を支援する義務を負っているため、早めに行動することがポイントです。

法的に不当な派遣切りか確認する

派遣会社から契約解除を告げられた場合、その内容が違法または不当なものでないか確認しましょう。解雇の30日前に予告がない、または解雇理由が曖昧な場合は、労働基準法違反の可能性があります。

納得できない場合は、ハローワークや労働基準監督署、弁護士などの専門機関に相談をしましょう。無料相談を行っている自治体もあるため、早期に対応することで不当な扱いを防ぐことができます。

失業保険の申請を行う

派遣切りによって離職した場合は、早めに失業保険の手続きを行いましょう。派遣切りは「会社都合退職」として扱われるため、待機期間を経て約1ヶ月で給付が開始されるケースが一般的です。

手続きはハローワークで行い、離職票や本人確認書類などが必要です。生活の安定を保つためにも、次の仕事が見つかるまでの間は失業保険を活用することが大切です。

転職活動を早めに開始する

派遣切り後は、離職期間をできるだけ短くするために、早めに転職活動を始めましょう。離職期間が長引くと、次の就職で不利になる可能性があります。

派遣会社を変えて新しい職場を探すのも1つの方法です。アスタワークでは、派遣社員としての再就業だけでなく、スキルや経験を活かした正社員転職もサポートしています。安心して次のステップに進むために、早めの準備を心がけましょう。

派遣切りに不安を感じたら「アスタワーク」に相談

出典：アスタワーク

「派遣切りが不安」「次の職場が見つかるか心配」という方は、アスタワークにご相談ください。アスタワークは、派遣社員一人ひとりの希望やスキルに寄り添い、安心して働ける環境をサポートする派遣会社です。

幅広い業界・職種の求人を取り扱っており、就業後のフォロー体制も万全。キャリア相談やスキルアップ支援も行っているため、派遣切り後の再スタートにも最適です。自分らしく働ける仕事を探すなら、ぜひアスタワークへご登録ください。

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派遣切りについてよくある質問

Q. 派遣切りをされたらすぐに会社を辞めなければいけない？

A. 派遣切りを通知された場合でも、契約期間が残っている間は原則として勤務が可能です。

派遣先が契約を途中終了する場合には、派遣会社が新たな勤務先を探してくれるケースもあります。契約終了が確定した際は、担当者に今後の予定を確認しましょう。突然の通達に焦らず、派遣会社と相談しながら次の職場を探すのが大切です。

契約内容をしっかり確認し、無理のない形で次のステップに進みましょう。

Q. 派遣切りは「解雇」と同じ？

A. 派遣切りと解雇は似ていますが、法的な扱いは異なります。派遣切りは「契約期間の終了」や「契約更新の打ち切り」を指し、雇用契約の自然な満了とされることが多いです。

一方、解雇は雇用契約の途中で会社側が一方的に打ち切る行為で、労働基準法の規制を受けます。派遣会社が契約途中で終了させる場合は「解雇」に該当する可能性があるため、理由の妥当性や手続きが適正かを確認することが重要です。

Q. 派遣切りが違法になる条件は？

A. 派遣切りが違法となるのは、正当な理由や手続きが欠けている場合です。

たとえば、派遣会社が30日前の解雇予告を行わずに契約を終了したり、「性格が合わない」など曖昧な理由で雇用を打ち切った場合は、違法の可能性があります。

また、長期間にわたって契約更新を繰り返していたのに、急に終了を告げられるケースも不当とされることがあります。納得できないときは、労働基準監督署や弁護士への相談がおすすめです。

Q. 派遣切り後に失業保険はもらえる？

A. 派遣切りの場合、多くは「会社都合退職」として扱われるため、失業保険を早期に受け取ることが可能です。

通常、自己都合退職では3か月の給付制限期間がありますが、会社都合であれば約1か月で支給開始となります。ハローワークで離職票を提出し、早めに手続きを進めましょう。

また、派遣会社が次の派遣先をすぐに紹介できない場合でも、失業保険の対象になる場合があります。経済的な不安を減らすためにも、早期申請が重要です。

派遣切りを恐れず前向きなキャリア形成を図ろう

派遣切りは突然訪れることもありますが、違法であれば適切に対処でき、正しく行動すれば次のチャンスにつながります。スキルアップや資格取得を進めることで、自分の市場価値を高められますし、大手派遣会社を活用すれば安定した働き方も実現できます。

大切なのは、派遣切りを「終わり」ではなく「新しいスタート」と捉えることです。前向きにキャリアを築き、安心して働ける環境を見つけましょう。