派遣社員でも福利厚生は受けられる？

派遣社員でも、社会保険や年次有給休暇、産前産後休業・育児休業、労災など法律で定められた福利厚生は原則として受けられます。

2019〜2020年の法改正で「同一労働同一賃金」の考え方が明確化され、派遣労働者と直接雇用の労働者との不合理な待遇差の是正が求められています。具体的な適用範囲や条件は制度ごとに異なるため、契約時に確認することが重要です。

派遣社員も法律に基づき福利厚生を受けられる

社会保険（健康保険・厚生年金）、雇用保険、労災、年次有給休暇などは法律による権利です。加入・付与の要件（契約期間・労働時間・継続勤務等）は制度ごとに定められており、要件を満たせば派遣社員でも適用されます。

なお、雇用主は派遣元（登録した派遣会社）であるため、手続きや給付の窓口は基本的に派遣元になります。

派遣会社と派遣先企業のどちらが提供するかで内容が変わる

福利厚生の「提供主体」は分かれ、社会保険や有給付与など雇用関係に基づく制度は派遣元が主に管理します。

一方、休憩室や給食施設、職場での教育訓練や一部の福利厚生施設利用は派遣先が派遣労働者にも利用機会を与える配慮が法律で求められています。また、派遣元が独自に用意する研修・割引サービス等は会社ごとに差があります。

派遣社員が受けられる福利厚生の種類

派遣社員の福利厚生は大きく「法定福利」と「派遣元が独自に提供する法定外福利」に分かれます。以下で代表的な項目ごとに、適用条件と実務上の注意点を解説します。

社会保険

健康保険・厚生年金は原則として雇用条件（契約期間や労働時間）が一定基準を満たせば加入義務が生じます。

雇用保険は週20時間以上で31日以上の雇用見込みがある（※）場合に加入対象となり、労災は就業先で発生した業務災害をカバーします。手続き・問い合わせは派遣元が窓口です。

※“厚生労働省 雇用保険の被保険者について”参照

有給休暇制度

年次有給休暇は雇入れ日から起算して継続勤務6か月、出勤率が一定（概ね8割以上）を満たすと付与される制度です。派遣社員は雇用主が派遣元のため、有休の管理や申請も派遣元に対して行います。

2019年改正により、付与日数が10日以上の労働者には使用者が年5日以上を取得させる措置が義務化されています。派遣先の変更があっても同じ派遣元であれば有休は消滅しません。

産休・育休・介護休暇

産前産後休業や育児休業、介護休業等は派遣社員にも適用されます。近年の改正で有期雇用者の育児休業取得要件が緩和され、一定の条件下では入社1年未満でも取得可能にりました。

派遣先による不利益取扱い（解雇・不利益な配置など）は法律で禁止されており、申出や手続きの窓口は原則派遣元ですが、派遣先にも配慮義務があります。ただし、復職支援の有無は派遣元により差があるため、事前に確認するとよいでしょう。

派遣会社独自の福利厚生

派遣元は法定外で独自制度を設けることが多く、無料や割引の研修・資格取得支援、健康診断の実施・補助、福利厚生クラブ（レジャー割引・人間ドック補助等）、カウンセリングやメンタルヘルス支援、復職支援やキャリア相談などが代表例です。

これらは会社ごとに大きく異なるため、登録前に具体的なメニューや利用条件を確認するとよいでしょう。

派遣社員の福利厚生と正社員との違い

派遣と正社員の福利厚生は「法定福利（社会保険・有給等）」については原則同等の権利が認められますが、住宅手当・賞与・退職金など企業の裁量で決まる任意給付は差が出やすい点が特徴です。

誰がどの制度を管理するかによって手続きや利用条件が変わるため、契約前に対象範囲と窓口を必ず確認しましょう。

正社員よりも手厚さに差が出る部分

企業が任意で提供する福利厚生（住宅手当、家族手当、賞与、退職金、企業年金など）は正社員を対象にすることが多く、派遣では支給対象外または限定的になるケースが一般的です。

昇給や長期的な報酬設計も正社員の方が手厚い傾向にあり、派遣では短期的な手当や別途補助で代替されることがあるため、待遇の差は事前に明確にしておく必要があります。 

逆に派遣会社ならではのサポートが受けられるケースもある

派遣元が提供する独自福利厚生として、入社前後の研修やeラーニング、資格取得支援、キャリア相談、定期健康診断や福利厚生クラブの優待、メンタルヘルス相談などが挙げられます。

特に複数現場を経験する派遣の特性を活かした短期集中のスキル研修や、復職支援・キャリアチェンジ支援は派遣会社ならではの強みです。制度内容は会社ごとに差があります。

福利厚生が充実した派遣会社を選ぶポイント

派遣会社選びは「法定福利の手続きが確実か」「独自の研修・支援メニューが実績あるか」「窓口対応や情報開示が明確か」が基本軸です。

加えて、利用条件、費用負担の有無、実際の運用を口コミや問い合わせで確認をしましょう。

社会保険・休暇制度のサポート体制

確認すべきは派遣元が社会保険加入手続きを迅速かつ正確に行うか、有休の付与・管理や病欠時の対応窓口が明確かどうかです。

社会保険の一般的な加入基準や、有休付与のルールを派遣元が分かりやすく説明しているかを登録時にチェックしましょう。トラブル時の相談窓口があるかも重要です。

キャリアアップ支援

実務に直結する研修、資格取得補助、eラーニングの充実度、そしてキャリア面談や職務経歴書の添削などの個別支援があるかをポイントにします。

紹介予定派遣や正社員化を見据えたサポート実績があるか、過去の利用者の合格・転職実績で効果を判断するとよいでしょう。利用者向けの実績公開が信頼性の目安になります。

健康・生活支援サービス

法定の健康診断以外に、人間ドック補助・生活支援、メンタルヘルス相談、福利厚生クラブを提供する派遣会社は長く安心して働けます。

特にメンタル・健康支援は休職・復職で重要となるため、制度の有無と実際の利用条件を確認しておきましょう。

実際の利用者口コミや評判を確認する

制度の有無だけでなく「実際に使えるか」は口コミで判断されます。登録前にSNSや転職・派遣口コミサイト、同僚の声、そして派遣元への直接問い合わせで具体的な申請手順や運用実例を確認しましょう。

厚生労働省の派遣ガイドラインや公的資料も併せて参照すると、法的な立ち位置と現場運用の差が見えやすくなります。

派遣社員が福利厚生を最大限活用するコツ

派遣社員として働くうえで福利厚生は安心して長く働くための大切な制度です。しかし「存在は知っていても詳しい内容を理解していない」「条件を満たさず使えなかった」というケースも少なくありません。

福利厚生を最大限に活用するには、登録時に内容をしっかり確認し、利用条件を理解したうえで、自分に必要な制度を積極的に使うことが重要です。

登録時に福利厚生の詳細を確認する

派遣会社に登録する際は、給与や勤務条件だけでなく福利厚生の内容も丁寧に確認することが大切です。社会保険の加入手続きや有給休暇の付与方法、健康診断や研修制度の有無、さらに利用可能な福利厚生クラブや資格支援制度など、派遣元ごとに大きく差があります。

制度の有無や申請方法、利用時の自己負担があるかを事前に把握しておくことで、後々のトラブルを防ぎ安心して働けるでしょう。

福利厚生の利用条件を把握する

福利厚生には「勤続6か月以上で有休が付与」「週20時間以上勤務で雇用保険加入」など制度ごとの利用条件があります。条件を満たしていないと権利があっても利用できないことがあるため、就業開始時に必ず確認しましょう。

たとえば育休や介護休暇は雇用期間や今後の契約見込みが要件となる場合があります。自分の勤務状況と照らし合わせて、将来的に利用できるタイミングを把握しておくと安心です。

利用できる制度は積極的に活用する

福利厚生は用意されていても申請しなければ使えないものが多く、知らないまま利用せずに終わる人も少なくありません。有給休暇や健康診断、研修・資格支援などは積極的に申請し、自分の生活やキャリアに役立てましょう。

特に派遣会社独自の福利厚生はスキルアップや長期就業の大きな助けとなります。必要な制度を早めに活用することで、安心して働き続けられる環境を整えることが可能です。

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派遣社員として長く安心して働くには、給与だけでなく福利厚生の充実度も大きなポイントです。東海エリアで高時給求人を豊富に扱う「アスタワーク」は、一般的な派遣会社の枠を超えたユニークな福利厚生やサポート体制が整っています。

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派遣の福利厚生に関するよくある質問

Q. 派遣社員でも正社員と同じように福利厚生を受けられる？

A. 派遣社員も法律に基づき、社会保険や有給休暇などの基本的な福利厚生を受けられます。

ただし、提供主体は派遣会社であり、派遣先企業の福利厚生とは分けて考える必要があります。たとえば健康保険・厚生年金・雇用保険などは派遣会社が加入手続きを行い、一定の条件を満たせば利用可能です。

一方で、派遣先企業独自の住宅手当や社員旅行などは対象外となるケースが多く、正社員との違いが出る部分です。

Q. 福利厚生は派遣会社と派遣先企業のどちらから提供される？

A. 基本的な福利厚生（社会保険・有給休暇など）は派遣会社が提供します。

派遣社員は派遣会社に雇用されている形になるため、法律に基づき派遣会社に加入義務があります。一方で派遣先企業の社員食堂や休憩室、制服貸与など、日常業務に関連する施設や制度は利用できる場合もあります。

福利厚生の適用範囲は派遣会社と派遣先で異なるため、登録時に必ず確認しておくことが重要です。

Q. 派遣社員が利用できる福利厚生にはどんなものがある？

A. 主なものは「社会保険」「有給休暇」「産休・育休・介護休暇」などの法定福利厚生です。

さらに派遣会社によっては、資格取得支援やスキルアップ研修、健康診断、提携施設の優待サービス、寮や住宅サポート、日払い・週払い制度など独自の福利厚生を整えているところもあります。

派遣会社ごとに差があるため、求人を選ぶ際は福利厚生制度の充実度を比較検討することがおすすめです。

派遣社員でも福利厚生は充実している

派遣社員というと正社員に比べて福利厚生が不十分なイメージを持たれがちですが、実際には社会保険や有給休暇、産休・育休など法定福利厚生はきちんと保障されています。

さらに派遣会社独自のサポートとして、研修制度や健康診断、生活支援サービスが整っているケースも少なくありません。登録時に制度内容や利用条件を確認し、自分に合った派遣会社を選べば、安心して働きながら福利厚生をしっかり活用できます。