派遣社員の手取りとは？

派遣社員の「手取り」とは、会社（派遣元）から支払われる額面（総支給額）から税金や社会保険料などを差し引いた、実際に銀行口座に入る金額を指します。

求人票に書かれた「時給○○円」「月給○○円」は額面（または税・保険料を差し引く前の基準）であることが多く、実際に使える金額＝手取りは額面よりかなり少なくなる場合があります。

家計管理や貯蓄計画を立てるうえでは「額面」だけでなく「手取り」を押さえることが重要です。

「額面」と「手取り」の違い

• 額面（総支給額）：額面は基本給（時給×労働時間）に、各種手当（通勤手当・残業代・深夜手当など）を加えた総支給額です。求人票に表示される金額は基本的に額面です。

• 手取り：手取りは額面から社会保険料・税金などを差し引いた後の金額です。一般的には額面の15〜20%が控除されるため、額面の約70〜85%が手取りになります。

主な控除項目には以下があります。

1. 健康保険料・厚生年金保険料
2. 雇用保険料
3. 所得税
4. 住民税
5. 任意の天引き（財形貯蓄・社内積立など）

特に派遣社員は、通勤費が別途支給されるケースも多いため、求人票の額面だけで判断せず、実際に手取りがいくらになるか計算することが重要です。

派遣社員の給与形態

派遣社員の給与形態にはいくつかのパターンがあります。代表的な形態は以下の通りです。

• 時給制：時給×勤務時間で額面が決まるため、月の勤務日数や残業時間によって手取りが大きく変動します。
  
• 日給制：日数ベースで支払われます。繁閑差がある職場で採用されるケースが多くあります。
  
• 月給制（固定給）：フルタイム勤務の常勤派遣などで見られ、月収が安定しやすい特徴があります。
  
• 日雇い派遣：短期・単発で働く形態です。社会保険や源泉徴収のルールが通常派遣と異なり、手取り計算が別になります。

また、残業代や深夜手当は時給制でも別途支給されるため、求人票に「残業なし」とあっても、実際に残業が発生する可能性があります。契約前に確認が必要です。

さらに、派遣社員は派遣会社から給与が支払われ、年末調整も派遣会社が行うケースが多いので、支払い条件や締め日を確認しておくと安心です。

派遣社員の平均的な手取り額

派遣社員の手取りは、勤務時間や時給、職種によって大きく変わります。厚生労働省の調査や求人データを参考にすると、以下のような傾向があります。

• 時給1,700円前後の場合（都市部求人平均）：フルタイム勤務（日8時間）の場合、額面は約27万円。控除を差し引くと手取りは21〜23万円程度になります。

• 派遣会社の平均月収：厚生労働省の集計結果によると、派遣社員の平均月収は約15万5,900円です。これは、派遣社員が月に受け取る総支給額の平均値です。ただし、これはあくまで平均値であり、実際の月収は勤務時間や職種、地域によって大きく異なる可能性があります。

• 年齢別の手取り相場：厚生労働省の調査では、年齢によって手取り額に差があります。概ね以下の通りです。

※控除率15～20%を想定した計算です。

業種・職種による違い

派遣社員の手取りは職種・業界によっても差があります。

• 事務系：平均時給1,600〜1,800円。手取りは比較的安定しやすい傾向。

• IT・エンジニア系：時給2,500〜3,500円以上の案件も多く、手取りも高い。

• 製造・軽作業・物流：時給1,200〜1,500円台が多く、手取りはやや低め。交替勤務や夜勤手当が加わる場合もあります。

• 医療事務・専門事務：専門性があるため時給は高め。

地域差も大きく、東京・大阪・名古屋などの三大都市圏では、地方より時給が高く、手取りも高くなる傾向があります。

派遣社員の手取りを計算する方法

派遣社員の手取り額は、額面給与から各種控除を引くことで求められます。求人票に記載されている金額は額面であり、実際に受け取る手取りはこれより少なくなります。

正確に手取り額を把握するためには、まず控除の仕組みを理解し、具体的な計算方法を知ることが重要です。

社会保険料や税金の控除項目

派遣社員の給与からは以下の項目が控除されます。

実際のシミュレーション例

たとえば、時給1,600円、月160時間勤務の場合、額面は256,000円です。控除を概算すると以下のようになります。

• 健康保険料：約14,000円

• 厚生年金：約23,000円

• 雇用保険：約800円

• 所得税：約5,000円

• 住民税：約9,000円

控除合計：約51,800円
→ 手取り：約204,200円

このように、額面の約20%程度が控除されることが多く、手取り額は額面よりもかなり低くなることがわかります。

派遣と正社員との手取りの比較

派遣社員と正社員では、給与構造や待遇面で差があります。特に手取り面では、長期的に見た際に違いが顕著になります。

年収ベースでの差

正社員は賞与（ボーナス）や昇給制度があるため、年間の手取り額は派遣社員よりも高くなる傾向があります。派遣社員は基本的に月給（または時給）ベースの給与体系で、ボーナスがないことが多いため、年収ベースでは差が広がります。

例：年収ベース（額面）

• 正社員：400万円

• 派遣社員：300万円前後
  差額：約100万円以上になるケースも珍しくありません。

ボーナス・昇給の有無による違い

正社員は年に2回程度の賞与が支給されるのが一般的です。また、定期昇給や評価による昇給制度もあります。

派遣社員は賞与がなく、昇給も限定的であるため、長期的に見ると年収や手取りの差はさらに大きくなるでしょう。

実際の生活水準に与える影響

正社員と派遣社員の手取り差は、生活水準に直接影響します。住宅ローンや家賃の支払い、貯蓄額、余暇費用などに違いが出てくるでしょう。

特に結婚や子育てなど、将来的なライフイベントに向けた資金計画では、正社員と派遣社員で大きく差が出ることを理解しておくことが大切です。

派遣社員の手取りを増やす方法

派遣社員が手取りを増やすためには、単純に時給を上げるだけではなく、勤務先や働き方を工夫することが重要です。以下にて、その方法を詳しく解説していきます。

高時給の派遣先を選ぶ

派遣社員の手取りを増やす最もシンプルな方法は、時給の高い派遣先を選ぶことです。特に専門スキルを活かせる業種（IT、翻訳、専門事務など）は高時給案件が多く、月の手取り額も大きく変わります。

派遣会社の求人情報を比較し、時給以外に残業手当や深夜手当が付くかもチェックすると、より効率的に手取りアップが可能です。

交通費・残業代をチェックする

求人選びでは、時給だけでなく交通費支給や残業代の有無も重要です。交通費が支給されない場合は、その分が実質的に手取りを減らします。

残業代が発生する職場では、額面・手取りともに増加するため、求人票に「残業あり」「残業代支給」などの条件があるか必ず確認しましょう。これらの情報は手取り額に大きく影響します。

スキルアップで時給を上げる

専門的なスキルや資格を持つことで、高時給の派遣先に就くことが可能になります。例えば、IT系資格、語学力、簿記などは時給アップに直結しやすいスキルです。

派遣会社によっては研修制度や資格取得支援を用意している場合もあるため、積極的に活用することで長期的に手取りを上げることができます。

派遣会社の乗り換えを検討する

派遣会社によって紹介案件の質や時給水準は大きく異なります。乗り換えによって、より高時給・待遇の良い職場に出会える可能性があります。特に都市部では、地域密着型の派遣会社や特定職種に強い派遣会社が存在します。

複数の派遣会社に登録し比較検討することで、自分にとって最適な派遣先と条件を見つけ、手取りアップにつなげることが可能です。

派遣会社の乗り換えなら「アスタワーク」

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派遣で手取りが少ないと感じたときの選択肢

派遣社員として働いていると、「思ったより手取りが少ない」「生活費に余裕がない」と感じることも少なくありません。時給や勤務時間による制約があるため、ただ働き続けるだけでは収入アップが難しい場合もあります。

そんなときは、収入を増やす工夫や将来を見据えた働き方の転換を検討することが大切です。ここでは、派遣社員が手取りの少なさを感じた際に取れる具体的な選択肢を紹介します。

副業を組み合わせる

派遣社員は労働時間が比較的柔軟な場合も多いため、副業を組み合わせて収入を補う方法があります。たとえば、在宅ワークやデータ入力、ライティング、配送業務などは副業として人気です。

近年はクラウドソーシングやアプリを活用することで、自分のスキルや時間に合わせて収入源を増やすことが可能になっています。ただし、派遣会社や派遣先に副業禁止規定があるケースもあるため、契約内容を必ず確認してから取り組むことが重要です。

直接雇用・正社員登用を目指す

手取りを安定的に増やしたいなら、派遣先の直接雇用や正社員登用を目指すのも1つの選択肢です。正社員になればボーナスや昇給制度が期待でき、長期的に年収アップにつながります。

派遣先で実績を積むことで登用のチャンスを得やすくなるほか、自分から担当者に希望を伝えることも重要です。また、紹介予定派遣を利用すれば、最初から正社員登用を前提に働けるため、収入面やキャリア形成の安定を図りやすくなります。

生活費の見直しや節税対策を行う

収入をすぐに増やすのが難しい場合は、支出の見直しによって手取りの不足感を補うことも有効です。

家計簿アプリを活用して無駄な支出を減らす、固定費を削減するなどの工夫が効果的。また、ふるさと納税や医療費控除などの節税制度を活用すれば、手取り感覚を改善することも可能です。

生活費と税金の両面からアプローチすることで、派遣社員でも実際の可処分所得を増やし、より余裕のある暮らしを実現できます。

派遣の手取りに関するよくある質問

Q. 派遣社員は正社員より手取りが少ないの？

A. 一概に少ないとは言えません。

時給制のため残業が多い職場や高時給案件では、正社員以上の収入を得られる場合もあります。ただし、正社員のようにボーナスや昇給、退職金などの制度がないため、長期的に見ると総合的な年収差が広がる傾向があります。

手取りだけで比較せず、福利厚生や将来性も含めて判断することが大切です。

Q. 派遣社員の手取りを増やす方法はある？

A. いくつかの方法があります。

まず、より高時給の求人に乗り換えることが最も直接的な方法です。また、勤務日数や残業を増やす、夜勤や専門スキルが必要な職種を選ぶなどでも手取り額はアップします。さらに、副業を組み合わせたり、確定申告で控除を活用することも有効です。

自身のライフスタイルや体力に合わせて収入アップを工夫しましょう。

Q. 手取りが想定より少ないときはどうすればいい？

A. まずは給与明細を確認し、控除されている社会保険料や税金の内訳を把握することが大切です。

その上で、生活費の見直しや節税対策を検討しましょう。例えば、医療費控除やふるさと納税などを利用すれば年間で数万円の差が出ることもあります。また、派遣会社の担当者に条件交渉を行い、交通費支給の有無や時給アップを相談するのも有効です。

派遣社員の手取りは条件によって変動する

派遣社員の手取り額は、時給や勤務時間、社会保険の加入状況、住んでいる地域の生活費水準などによって大きく変動します。

同じ時給でも残業の有無や勤務日数で差が出るほか、交通費の支給条件や税金控除の内容によっても実際に手元に残る金額は異なります。そのため、手取りを増やしたい場合は条件交渉や働き方の工夫が重要です。

自分の状況に合った働き方を選び、無理のない範囲で収入アップを目指しましょう。